2015年1月号(Vol.31)HTMLメール

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宇治茶の郷メールマガジン
1月号(Vol.31)
こんにちは、宇治 茶太郎さん。
宇治茶の郷より、初春のお慶びを申しあげます。

目次

… トピックス …………………………………………………………………………
 【1】「T-1グランプリ in 宇治」を開催
 【2】「宇治茶の郷づくり応援団」の募集
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… 日本茶・宇治茶の世界文化遺産登録に向けて ……………………………………
 ○「宇治茶をいかした景観まちづくりシンポジウム」を開催
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… コラム「茶の記憶」………………………………………………………………
 ○第27回 橋本素子さん
  3、日常茶飯事の時代の到来と「大茶(おおちゃ)」
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トピックス

【1】「T-1グランプリ in 宇治」を開催

 お茶の淹れ方や知識を問う第2回「T-1グランプリ in 宇治」が12月14日(日)、宇治茶会館で開催。

 T-1グランプリは、2007年宮崎県都城市で始まり、「急須でお茶を」をテーマとして、子どもたちがお茶の淹れ方を学ぶことで、「思いやり・おもてなしの心」を育んでもらい、その練習過程で生まれる「家族団らん」、「親子のコミュニケーション」の大切さを深めるために実施されたものです。

 当日は、80人の小学3年~6年の児童が参加し、「お茶の知識(○×筆記クイズ)」、「お茶の種類当て競技」、「お茶の淹れ方競技」に挑みました。

 また、会場には「チャチャ王国のおうじちゃま」も登場し、親子ともに楽しめる1日となりました。

【2】「宇治茶の郷づくり応援団」の募集

 宇治茶ファン拡大と、継続的な交流や情報発信促進のため「宇治茶の郷づくり応援団」を募集します。

 活動内容としては、茶畑における作業手伝い等を行い豊かな地域資源の保全に努める「宇治茶を守り隊」、茶畑景観などの見学等の楽しみづくりを実施し、宇治茶の魅力を知ってもらうとともに宇治茶の栽培の現状などを学んでもらう「宇治茶を巡り隊」などの活動を通して、盛り上げていくことを考えています。

 メールマガジンご愛読者の方で、「宇治茶の郷づくり応援団」として活動を希望される場合は、下記メールアドレスによりご連絡ください(ご連絡いただく際には、氏名・連絡先を記載願います)。

【メールアドレス】yamashin-no-kikaku@pref.kyoto.lg.jp

日本茶・宇治茶の世界文化遺産登録に向けて

○「宇治茶をいかした景観まちづくりシンポジウム」を開催

 世界文化遺産登録を目指す「宇治茶生産の景観」について地元の機運を高めようと、12月7日(日)、宇治茶会館で「宇治茶をいかした景観まちづくりシンポジウム」を開催。

 当日は、日本イコモス国内委員会委員長の西村幸夫氏による講演、茶畑の景観の美しさや価値の再発見を訴えたトークセッション、宇治茶の景観や文化などを紹介するスライド上映、宇治茶レディによる宇治茶の振る舞いなど、来場された約230人の方々に宇治茶世界遺産登録に向け、「宇治茶生産の景観」の魅力をアピールしました。

 なお、年明けの1月24日(土)には、宇治茶文化講座特別講座「日本茶のふるさと宇治茶生産の景観」が宇治田原町総合文化センターで開催されます。

 文化庁文化財部記念物世界文化遺産室 西和彦氏による講演やトークセッションなどを予定していますので、多数のご参加をお待ちしています。

コラム「茶の記憶」 第26回


 京都光華女子大学非常勤講師((公社)京都府茶業会議所理事 等)の橋本素子さんに、今回は、『日常茶飯事の時代の到来と「大茶(おおちゃ)」』という題目でコラムをお寄せいただきました。

3、日常茶飯事の時代の到来と「大茶(おおちゃ)」 ― 橋本 素子

 亭主亭主の留守なれば、隣りあたりを呼び集め、他人事言うて、大茶飲みての大笑い、意見さ申そうか

 天文八年(1539)『御状引付』に書かれた京の盆踊唄の一番には、夫の留守中に妻たちが集い、人のうわさ話をしながら茶を飲む風景がうたわれています。これは京都の庶民が日常的にお家で茶を飲むことができるようになったこと、つまり「日常茶飯事」の時代が到来したことを示す重要な史料です。

 さて、ここに出てくる「大茶」とはどのようなお茶でしょうか。永享四年(1432)八月五日付「黄梅院中居方下行定書」(『黄梅院文書』)によると、鎌倉の円覚寺黄梅院で中居方に下行される物品の中に「吉茶 壱斤」と「雲脚 三斤」がありました。また永享七年五月二八日付「黄梅院年中下行定書」(『黄梅院文書』)には「壱貫五百文 好茶」「壱貫八百文 大茶」とあり、これは12か月分の金額との割注があります。この二つの史料から「吉茶」=「好茶」、「雲脚」=「大茶」として差し支えのないものとみられ、1斤あたりの価格が、吉茶が125文、雲脚が50文となります。つまり京の女性たちが飲んでいた「大茶」とは「雲脚」のことである可能性が出てきました。

 「雲脚」については『下学集』に「悪ろき茶の名なり。言わく茶泡早く滅し、浮き雲の如く脚早く過ぎ去るなり」とあります。但し、茶の価格をもって品質の良し悪しを判断することが難しいことは、奈良興福寺大乗院門跡尋尊の『大乗院寺社雑事記』文明七年(1475)六月の「茶日記」にみえる「吉茶」が七斤で525文、一斤あたり75文という廉価であったことからもうかがえます。少なくとも「雲脚」は「吉茶」よりも価格が低く、品質が劣る茶であるといえましょう。

 ひとまず今回は、戦国時代の京の庶民が飲んでいた「大茶」が「雲脚」であり、これを点茶法(抹茶の点て方)で飲んでいた可能性があることを指摘するにとどめたいと思います。そういたしますと、西大寺の「大茶盛」(おおちゃもり)の「大茶」の意味も、もう一度見直した方がよいかもしれません。

 そしてこの日常茶飯事の時代が到来した同じころに「茶の湯」が登場すること、それにともない宇治茶の世界も大きく変革したことを指摘して、最終回に繋げたいと思います。

コラムここまで
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 □ 発行日 : 2015年1月1日
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