公益社団法人京都府茶業会議所

行楽シーズンにぴったりな、清々しい秋晴れが続いていますね。
彩りを添えるおいしい宇治茶情報をお届けします。

… トピックス …………………………………………………………………………
　【１】あなたも「宇治茶カフェ」認定店になりませんか
　　　　～「宇治茶カフェ」を募集します～
　【２】特別展京に生きる文化『茶の湯』
　　　　開催期間中宇治茶カフェ スマホスタンプラリーのスタンプ台を
　　　　設置しています
　【３】9年ぶりに全国お茶まつり京都大会
　　　　「宇治茶の魅力発信イベント」を開催
　【４】Instagram　宇治茶カフェ投稿中
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… コラム「茶の記憶」………………………………………………………………
　○第121回　橋本素子さん
　　千利休と宇治茶　―生誕500年によせて―（3）
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　宇治茶の郷づくり協議会（事務局：(公社)京都府茶業会議所、京都府山城広域振興局）では、3種類以上のおいしい宇治茶を飲め、宇治茶の歴史、文化、淹れ方等の説明が受けられる飲食店を「宇治茶カフェ」として認定しており、11月1日より新規認定店を募集します。

１　募集要項

２　審査方法
　「宇治茶カフェ」認定委員会により書類審査及び現地審査を行い認定の適否を審査。
　審査に通過された場合、令和5年3月頃に認定式（於；宇治茶会館）を実施（予定）。

３　宇治茶カフェ認定のメリット
（1）「宇治茶カフェ」の盾を貸与。
（2）宇治茶カフェガイドブックへ掲載。京都総合観光案内所「京なび」等で通年にわたり広報。
（3）宇治茶カフェスタンプラリーの開催など各種情報発信。
◆認定店舗数：45店舗
　　　　　　（令和4年9月末現在）

【概要】
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/chanoyu2022/
2022年10月8日（土）～12月4日（日）
・会期
　主な展示替：前期展示＝10月8日（土）～11月6日（日）
　　　　　　　後期展示＝11月8日（火）～12月4日（日）
　※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替を行います。
・開館時間　午前9時～午後5時30分（金・土曜日は午後8時まで開館）
　※入館は閉館の30分前まで
・観覧料　当日券　1,800円　大学生　1,200円　高校生700円

　茶生産技術の向上とお茶の消費拡大を図るため、令和4年度は京都府宇治市をメイン会場として、「第76回全国お茶まつり京都大会」を開催します。全国お茶まつりは、全国の茶生産府県が持ち回りで毎年開催しており、京都府での開催は9年ぶりとなります。

　本大会では、お茶のおいしさ・素晴らしさを知っていただく魅力発信イベントを開催しまので、ぜひご来場ください。（下記URL）

　また、期間中は宇治茶カフェ スマホスタンプラリーのスタンプ台をイベント会場「茶づな」に特別設置します。

＜宇治茶の魅力発信イベント＞
https://www.pref.kyoto.jp/nosan/76ochafes_kyoto2022.html
【開催期間】2022年11月19日（土）～20日（日）／2日間
【開催場所】お茶と宇治のまち歴史公園 茶づな他　（京阪宇治駅隣り）
　　　　　　宇治市莵道同丸山203-1
■イベントのチラシPDFはこちらから

https://www.instagram.com/kansaide_odekake/

　今月もお京都芸術大学非常勤講師の橋本素子さんにコラムをご紹介いただきます。

　「千利休と宇治茶　―生誕500年によせて―（３）」というテーマでコラムをお寄せいただきました。

　前々回は、千利休が宇治茶の生産の情報を堺に伝えるなど、永禄期ごろから宇治茶の流通に関わっていた可能性を示しました。

　前回は、千利休が、遅くとも親の代から、堺の問（とい）という、倉庫業・運送・委託販売業を家業としていた可能性を示しました。

　今回は、少し戦国期の上林家のことを書かせていただきます。

　織豊期（安土桃山時代）以降、宇治の茶業界で頭角を現すのが、上林家です。

　『寛政重修諸家譜』によると、上林久重は、北近江の戦国大名である浅井長政に仕えていたものの、天正元年（1573）、小谷城の戦いで織田信長に敗れて没落したため、宇治へ来て住んだとあります。これ以後、宇治で上林家が本格的に茶業を行ったとされてきました。

　しかし上林家自体は、戦国期から宇治で茶業を行っていたことが、『宇治堀家文書』第58号文書、大永4年（1524）12月21日付「上林某茶園売券」から明らかになっています。（橋本素子・角田朋彦・野村朋弘編『宇治堀家文書』八木書店　2021年）この売券をみると、大永4年に、上林某から同じ宇治の茶業者の堀与左衛門へ、蒲挟（がまがはざま）の茶園を13貫文で売却していました。これは、大永4年以前に、上林家一族の者が、宇治でそれなりの規模をもって茶業を行っていたことを示しています。

　また、戦国末期・永禄7年（1564）に堺の茶人である真松斎春渓が書いた茶書『分類草人木』（ぶんるいそうじんもく）は、いわゆる「宇治七名園」の初出史料で、そこには、

相国御園森・川下、武衛園朝日、京極園祝・奥山、山名園宇文字。その後上林を加え、七種の園と号す。

とみえます。七名園は、先に六名園が定められたが、後に上林家の茶園が加わったとしているのです。この内容自体は、一次史料（同時代史料）の無い由緒（伝承）であり、後世の「語り」です。ただし、永禄7年当時に「宇治七名園」の成立にまつわる由緒を語ったとしても、ある程度違和感がなく受け止められていたとするならば、やはり中世のうちに、上林家が宇治においてそれなりの規模をもって茶業を行っていたからでしょう。

　このように、宇治で茶業を展開していた上林家と千利休との宇治茶をめぐる関係は、初回でみたように、すでに中世―戦国末期の段階から見られたのです。最終回に続きます。